2020年度 インバウンド観光(訪日外国人観光客)プロモーションに関する自治体実態調査

2020年 | 観光プロモーションに関する自治体実態調査 概要

調査目的
各自治体におけるインバウンド観光のプロモーションに関する取り組み状況の実態把握を行うための調査です。
あわせて、本調査結果を今後の観光プロモーション活動などにお役立ていただくことも目的としています。

調査期間
令和2年5月18日~令和2年9月11日

調査対象
全国1,741自治体

調査方法
全国の自治体(市町村および東京23区) 観光事業担当部署に郵送・メール・FAXで調査依頼を発信
回答は郵送、Webのフォーム、FAXにて回収し単純集計

回収状況
回収数 989票
回収率 56.8%

本調査結果は一般財団法人モバイルスマートタウン推進財団がウェブとFAXでアンケートを実施し、財団シンクタンクである日本観光推進総合研究所が回答者を特定されない形で集計加工したデータであり、一定数以上の回答を得られた情報を掲載しています。

過去のデータは、「自治体実態調査」でご覧になれます。

出典:一般財団法人モバイルスマートタウン推進財団/日本観光推進総合研究所

01.ここ数年における外国人観光客について

外国人観光客の客数変化についての内訳

N=987

回答数
増えている473
変わらない282
減っている48
わからない184
ポイント

●コロナ前の外国人観光客の動向として、まず「客数の変化」では、987の自治体のうち473の自治体(回答自治体数の47.9%。以下同様)が「増えている」と回答しており、全体の半数近くを占めている。

一方で、「変わらない」と答えている自治体が282(28.6%)、「減っている」とする自治体が48(4.9%)、「わからない」という自治体も184(18.6%)みられ、コロナ前の時点でインバウンド観光の拡大傾向がみられない自治体が全体の半数を超えている。


外国人観光客への受け入れの姿勢についての内訳

N=986

回答
受け入れたい729
受け入れたくない4
どちらともいえない253
ポイント

次の「受入の姿勢」では、986の自治体のうち「受け入れたい」としている自治体が729(73.9%)と、回答した自治体の7割以上が積極的な姿勢を示している。

その一方で、「受け入れたくない」という自治体が4(0.4%)、「どちらともいえない」という自治体も253(25.7%)に達しており、両者を合わせると全体の4分の1余りを占める自治体が、外国人観光客の受け入れには積極的ではないことが分かる。

国内観光をはじめ、地場産業が堅調であることによるものなのか、もしくは深刻化している過疎化によって観光振興に着手できない状況にあることもその背景として考えられ、詳しい実態把握が必要である。


外国人観光客へのプロモーションについての内訳

N=988

回答
実施している455
実施を検討中258
実施する予定はない275
ポイント

「プロモーション」の質問項目では、988の自治体のうち「実施している」と答えた自治体が455(46.1%)、「実施を検討中」としている自治体が258(26.1%)となっており、先の「受入の姿勢」の項目と同様に、実施の方向性にある自治体が全体の7割以上を占めている。

ただし、「実施する予定はない」と回答している自治体が275(27.8%)に達しており、少なくない自治体で外国人を対象としたインバウンド観光振興の推進がみられない状況となっている。

02.新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の1つである「V字回復フェーズ」にする準備について

「V字回復フェーズ」にする準備についての内訳

N=982

回答
準備している144
準備する予定312
準備する予定はない235
準備したいが具体的に何をすべきかわからない291
ポイント

●回答した982の自治体のうち、「準備している」と答えた自治体が144(回答自治体数の14.7%。以下同様)で、「準備する予定」であるという自治体の312(31.8%)を合わせると、全体の半数近くを占めている。

他方で、「準備する予定はない」としている自治体が235(23.9%)、「準備したいが具体的に何をすべきかわからない」という自治体も291(29.6%)にのぼり、V字回復の準備段階にはない自治体が上回っていることから、コロナ対応に奔走している各地の現状がうかがえる。

主な準備内容についての内訳

「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用ワーケーションの推進
「誘客多角化等のための魅力的な潜在コンテンツ造成」の活用安全安心キャンペーン
GoToキャペーンに対応した施策ECサイトの立上げ
コロナ感染症対策事業者支援事業Wi-Fi環境の整備
継続性のある観光施策案内板などのリニューアル
国や県の施策と連動した事業観光地や公衆トイレなどの施設整備
社会実験キャッシュレス対応の決済システムの導入
PR動画の制作ポータブル翻訳機器の設置
SNSでの情報発信観光案内所の整備
Webサイトや販促物の制作・改修・多言語化受入体制の強化
海外プロモーション地域通訳案内士の導入
地域住民に向けたクーポンやプレミアム商品券の発行HPなどの多言語対応
旅行者に向けた宿泊費の補助テイクアウトデリバリーへの支援
感染症対策に対する補助デリバリーシステムの構築
民間事業者への支援・還元デジタルサイネージの設置
観光コンテンツの整備・造成回復期における外国人観光客の動向調査
MICE推進外国語指差し案内資料の作成
ポイント

●準備内容として挙げられているのが、まず内閣府の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用やコロナ感染症対策事業者支援事業、国や県の施策と連動した事業である。

また、ECサイト(事業者独自に運営され、販売していくウェブサイト)の立上げやテイクアウトデリバリーへの支援、デリバリーシステムの構築、デジタルサイネージ(映像広告)の設置、そしてそのために必要となるWi-Fi環境の整備やキャッシュレス対応の決済システムの導入がある。

このほか、地域住民に向けたクーポンやプレミアム商品券の発行、感染症対策に対する補助が挙げられている。

ポイント

●インバウンド観光振興に向けての準備内容も多岐にわたってみられる。観光庁による「誘客多角化等のための魅力的な潜在コンテンツ造成」の活用や「GoToキャペーン」に対応した施策、旅行者に向けた宿泊費の補助がある。

また、自治体内の受入体制づくりとして、観光案内所の整備や案内板などのリニューアル、観光コンテンツの作成と同時に、HPなどの多言語対応、地域通訳案内士の導入、ポータブル翻訳機器の設置など多言語への対応準備がある。さらに、PR動画の制作やSNSでの情報発信、海外プロモーション、外国人観光客の動向調査を行っている自治体もみられる。

観光以外の事業も挙げられており、ワーケーションの推進、MICE(グループトラベル・ビジネストラベル)など、V字回復に向けた取り組みがなされている。

03.外国人観光客を受け入れるメリット・デメリット

外国人観光客を受け入れるメリット・デメリットの内訳

外国人観光客を受け入れるメリット(上位5選)
観光客・観光消費額の増加920
まちの認知度向上573
新たな市場の開拓458
新たな観光資源の発掘430
異文化交流417
ポイント

●まず外国人観光客を受け入れるメリットについて、3,857件(のべ回答数)が寄せられている。そのうち最も多かったのが「観光客・観光消費額の増加」であり、920の自治体(回答数全体の23.9%。以下同様)がインバウンド観光の直接的な経済メリットを指摘している。

その経済メリットについては、「新たな市場の開拓」を458の自治体(11.9%)が、「新たな観光資源の発掘」についても430の自治体(11.1%)が指摘しており、多くの自治体で新たな産業化が目指されている。

その一方で、573の自治体(14.9%)が「まちの認知度向上」を、417の自治体(10.8%)が「異文化交流」を挙げており、観光興隆によるまちの認知度向上や文化的側面での新たな価値が見出されている点にも注目される。

また、200以上の自治体が挙げているものとして、「高い消費単価及び利益率」「国内観光客が少ない閑散期の集客」があり、「雇用の拡大」「市民の意識向上(シビックプライドの醸成) 」「商品やサービスの質の向上」「従業員の接客対応の質の向上」など、観光振興によるさまざまな直接的・間接的メリットへの期待が高いことが分かる。

その一方で、11の自治体が「特にメリットは感じない」としている。


外国人観光客を受け入れるデメリット(上位5選)
案内表示など多言語対応できていない640
受入体制整備に要する人材の確保563
受入体制整備に要する予算の確保
文化の違いから生じる地域住民の戸惑い
411
言語の違いから生じる地域住民の戸惑い383
二次交通の整備359
ポイント

●デメリット

メリットを上回る4,231件(のべ回答数)が寄せられている。そのうち最も多かった内容が言語対応であり、「案内表示など多言語対応できていない」を640の自治体(回答数全体の15.1%。以下同様)が指摘している。

また、「受入体制整備に要する人材の確保」について563の自治体(13.3%)が、「受入体制整備に要する予算の確保」を411の自治体(9.7%)が問題としているとともに、「文化の違いから生じる地域住民の戸惑い」を411の自治体(9.7%)が、「言語の違いから生じる地域住民の戸惑い」を383の自治体(9.1%)が挙げており、観光振興において人材・予算面の問題や言語的・文化的な差異への対応の難しさもみられることが分かる。

ポイント

●言語対応以外の内容も多岐にわたっており、「二次交通の整備」を359の自治体(8.5%)が、「宿泊施設の整備」を312の自治体(7.4%)が、「現金以外の支払い対応に迫られる」を286の自治体(6.8%)が指摘している。

このほか、「入浴方法や夜中に騒ぐなどのマナー違反」「治安悪化への懸念」「観光客の過剰な増加(オーバーツーリズム)」「環境保全への懸念」「既存のお客様が離れてしまう恐れ」「レンタカーなどによる事故」「違法民泊の蔓延」といったデメリットが寄せられている。

その一方で、「特にデメリットは感じない」という自治体が37(0.9%)みられる。

04.観光用販促物や観光サイトなどの多言語化について

観光用販促物や観光サイトなどの多言語化についての内訳

N = 987

観光用販促物などの多言語化についての回答
実施している695
実施を検討中149
実施する予定はない143
ポイント

観光用販促物などへの多言語対応について、987の自治体のうち全体の7割以上を占める695の自治体(回答自治体数の70.4%。以下同様)が「実施している」と回答している。

案内サインやパンフレットなどの対応言語については、英語が752の自治体、中国語(簡体字)が509の自治体、中国語(繁体字)が506の自治体、韓国語が416の自治体となっている。

また、「実施を検討中」と回答しているという自治体が149(15.1%)、「実施する予定はない」としている自治体も143(14.5%)みられ、両者を合わせると3割近い自治体が未着手の状態となっている。


観光サイトなどの多言語化についての内訳

N = 981

観光サイトなどの多言語化についての回答
実施している543
実施する予定はない245
実施を検討中 193
ポイント

観光サイトなどの多言語化の対応については、981の自治体のうち、「実施している」自治体が543(回答自治体数の55.4%。以下同様)と最も多く、全体の半数以上を占めている。


多言語化についての内訳

多言語(上位5選)観光用販促物など観光サイトなど
英語752588
中国語(簡体字)509416
中国語(繁体字)506398
韓国語416380
タイ語11989
ポイント

自治体や観光協会などが運営している観光サイトやモバイルアプリでは、英語を対応言語として挙げている自治体が588と多く、次に中国語(簡体字)が416の自治体、中国語(繁体字)が398の自治体、韓国語が380の自治体となっている。

その一方で、「実施を検討中」としている自治体が193(19.7%)、「実施する予定はない」という自治体が245(25.0%)みられ、言語対応において販促物よりも観光サイトが遅れている現状もみられる。

05.訪日外国人観光客に向けたSNSの運用について

訪日外国人観光客に向けたSNSの運用についての内訳

ポイント

●回答した987の自治体のうち、「運用している」と答えている自治体は186(回答自治体数の18.8%。以下同様)で、「運用を検討中」という自治体の237(24.0%)を合わせても、全体の4割余りのSNS運用状況となっている。

「運用する予定はない」と回答している自治体が564(57.1%)みられ、半数以上を占めている。

SNSの運用についての回答(上位5選)
Facebook171
Instagram117
YouTube61
Twitter43
微博11
ポイント

●SNSの運用内容として寄せられた426件のうち、「Facebook」が171件(回答件数の40.1%。以下同様)と最も多く、次に「Instagram」が117件(27.5%)、「YouTube」が61件(14.3%)、「Twitter」が43件(10.1%)となっており、微博、ブログ、微信、LINE、独自アプリと続いている。

06.インバウンド観光事業の推進におけるIoTの活用について

インバウンド観光事業の推進におけるIoTの活用について、どのような内容で行ったかの内訳

ポイント

●回答した977の自治体のうち、すでに「活用している」自治体が211(回答自治体数の21.6%。以下同様)であり、「活用を検討中」という自治体の267(27.3%)を合わせると、全体の半数近い自治体がIoT活用の方向性にある。

ただし、「活用する予定はない」とする自治体が499(51.1%)と上回っており、IoTの導入拡大に向けては国・都道府県のさらなる支援・サポートが必要であるとみられる。

IoTの活用内容についての回答(上位5選)
デジタルサイネージ
QRコードを活用した観光パンフレット
101
QRコードを活用した観光案内板95
デジタルパンフレットの配信53
VR・AR・MR・SR などの活用30
統計データの収集29
ポイント

●IoTの活用内容としては446件が寄せられており、「デジタルサイネージ」が101件(回答数の22.6%。以下同様)、「QRコードを活用した観光パンフレット」が101件(22.6%)、「QRコードを活用した観光案内板」が95件(21.3%)と、いずれも2割以上を占めている。

続いて、「デジタルパンフレットの配信」や「VR・AR・MR・SR などの活用」、「統計データの収集」「GPSを活用した観光ガイドやスタンプラリー」「AI による観光案内」となっている。

07.インバウンド観光事業を推進するにあたり現状困っていること

インバウンド観光事業を推進するにあたり現状困っていることについての内訳

困っていることについての回答(上位5選)
受入体制の整備に関する人材の不足601
観光地としての認知度が低い500
公共交通が行き届いていない(二次交通対策)492
受入体制の整備に関する予算の不足488
カードや電子マネーなど多様な決済方法への対応379
ポイント

●自治体より5,441件(のべ回答数)が寄せられ、そのうち「受入体制の整備に関する人材の不足」が601件(回答数全体の11.0%。以下同様)と最も多く、次に「観光地としての認知度が低い」が500件(9.2%)、「公共交通が行き届いていない(二次交通対策) 」が492件(9.0%)、「受入体制の整備に関する予算の不足」が488件(9.0%)など、多くの自治体でさまざまな受入体制に関わる問題が生じていることが分かる。

また「カードや電子マネーなど多様な決済方法への対応」が379件(7.0%)、「Wi-Fi環境の整備」が309件(5.7%)と、新しい決済システムや快適な通信環境の整備への高いニーズがみられる。

受入体制に関わるその他の内容として、「外国人による来訪の実態が把握できていない」が288件(5.3%)、「受け入れに対する事業者に温度差がある」が260件(4.8%)、「観光客増加に伴う宿泊施設の不足」が254件(4.7%)などがあり、いずれも200件を上回っている。

そのほか、「観光客は増加しても宿泊につながらない」「ハラールなどの異文化対応」「PR方法がわからない」「ルールやマナーの相互理解」「観光資源がない/わからない」をそれぞれ200以上の自治体が挙げており、「受け入れに対する地域の理解や意欲がない」「観光客が増加しても消費額が増えない」など、多様な課題に直面していることがうかがえる。

ポイント

●ここでは「地震・台風など災害時の対応」や「急病・盗難などトラブル時の対応」も指摘されており、災害時の避難や救急対応など観光面以外での現地滞在のサポート体制についても構築が急がれる。

08.インバウンド観光事業の推進における官民連携について

インバウンド観光事業の推進における官民連携についての内訳

ポイント

●官民連携について984の自治体より回答が寄せられ、そのうち「連携している」自治体が554(回答自治体数の56.3%。以下同様)と半数以上を占め、「連携を検討中」とする190の自治体(19.3%)を合わせると、全体の4分の3を占めている。

他方で、「連携する予定はない」という自治体が240(24.4%)に達しており、自治体独自で進められているのか、インバウンド観光振興に着手されていないことによるものなのか、その背景についての検証が必要である。

連携先についての内訳

連携先(上位5選)
観光協会488
DMO208
観光事業者191
宿泊事業者176
商工会議所140
ポイント

●連携先としては1,660件(のべ回答数)が寄せられており、そのうち「観光協会」が488件(回答数全体の29.4%。以下同様)と最も多く、全体の3割近くを占めている。

次いで「DMO(観光地域づくり法人)」が208件(12.5%)、「観光事業者」が191件(11.5%)、「宿泊事業者」が176件(10.6%)、「商工会議所」が140件(8.4%)、「協議会」が131件(7.9%)となっている。

このほか、「飲食事業者」「交通事業者」「学識機関」「コンベンションビューロー」「海外の事業者」「金融機関」「ツーリズムビューロー」「学生団体」が挙げられており、自治体内の裾野の広い連携体制の構築が急がれる。

連携内容についての内訳

連携内容についての回答(上位5選)
観光パンフレットやマップの作成402
観光ウェブサイトの運営298
商談会や旅行博などへの出展210
SNS などを活用した情報発信199
海外でのプロモーション195
ポイント

●次に連携内容であり、寄せられた3,047件(のべ回答数)のうち、「観光パンフレットやマップの作成」が402件(回答数の13.2%。以下同様)と最も多くなっている。

次いで「観光ウェブサイトの運営」が298件(9.8%)、「商談会や旅行博などへの出展」が210件(6.9%)、「SNS などを活用した情報発信」が199件(6.5%)、「海外でのプロモーション」が195件(6.4%)、「FAMツアーやモニターツアーの実施」が190件(6.2%)と、いずれも200から300近い自治体で官民連携のもとで実施されている。

このほか、「旅行商品や体験プログラムなどの企画」「PR動画の作成」「観光資源のブラッシュアップ」「着地型プログラムの造成」「観光案内板の作成および設置」「海外メディアの招聘」「アンケートや宿泊者統計などの調査」など、情報発信に関わる内容、新しい観光プランの作成や観光資源のブラッシュアップ、観光の実態調査などが進められている。

09.インバウンド観光事業の推進における広域連携について

インバウンド観光事業の推進における広域連携についての内訳

ポイント

●近年、受入体制づくりや周遊観光の創出に向けて進んでいる広域連携については、984の自治体より回答が寄せられ、そのうち「連携している」自治体が552(回答自治体数の56.1%。以下同様)と半数を超え、「連携を検討中」という177の自治体(18.0%)を合わせると、全体の4分の3に近い自治体が広域連携を進めている。

他方で、「連携する予定はない」と答えた自治体が255(25.9%)と4分の1以上を占め、今後の広域連携に向けた国・県のサポートが望まれる。

連携先についての内訳

連携先(上位5選)
近隣自治体451
都道府県174
DMO組織
広域連携協議会
154
県外の自治体110
観光推進機構55
ポイント

●連携先については、寄せられたのべ1,211件(のべ回答数)のうち、「近隣自治体」が451件(回答数全体の37.2%。以下同様)と4割近い結果となっている。次いで「都道府県」が174件(14.4%)、「DMO組織」が154件(12.7%)、「広域連携協議会」が154件(12.7%)、「県外の自治体」が110件(9.0%)と続いている。

このほか、「観光推進機構」「沿線市区町村」「ツーリズムビューロー」「コンベンションビューロー」などが挙げられており、裾野の広い連携体制の構築が期待される。

連携内容についての内訳

連携内容についての回答(上位5選)
観光パンフレットやマップの作成384
観光ウェブサイトの運営222
FAMツアーやモニターツアーの実施220
商談会や旅行博などへの出展208
海外でのプロモーション196
ポイント

●連携内容についても2,728件(のべ回答数)が寄せられ、まず「観光パンフレットやマップの作成」が384件(回答数全体の14.1%。以下同様)と最も多く、次いで「観光ウェブサイトの運営」が222件(8.1%)、「FAMツアーやモニターツアーの実施」が220件(8.1%)、「商談会や旅行博などへの出展」が208件(7.6%)と、いずれも200以上の自治体が回答している。

また、一定数の自治体で進められている連携内容として、「海外でのプロモーション」「SNS などを活用した情報発信」「PR動画の作成」があり、情報発信に関わる内容が大きく占めていることが分かる。

この他、観光資源のブラッシュアップや新しい観光プランの作成、観光の実態調査、支援制度への申請、二次交通の整備、通信環境・決済システムの整備、多言語対応など、多岐にわたる事業が広域連携のもとで進められている。

10.自治体への問い合わせについて

外国人観光客からと民間事業者からの自治体への問い合わせについての内訳

■ 外国人観光客から

■ 民間事業者から

ポイント

●外国人観光客からの問い合わせとして、のべ1,493件(のべ回答数)が寄せられ、そのうち286の自治体(回答数全体の19.2%。以下同様)が「観光情報」を挙げており、全体の2割近くを占めている。

続いて「交通」が165の自治体(11.1%)、「宿泊施設」が127(の自治体8.5%)、「飲食店や土産物店」105の自治体(7.0%)で、いずれも100を超える自治体が回答を寄せている。

このほか、「イベント」「アクティビティ」「手荷物預かり所」「両替」などとともに「事故やトラブルに見舞われた時」「怪我や病気をした」といった内容が挙げられており、観光面以外のサポート体制の必要性があることが分かる。

「特になし」という自治体が618(41.4%)と4割以上の自治体でみられるものの、警察や医療機関などとの連携のもと、さらに受入体制の充実を図っていくことが急がれる。

ポイント

●民間事業者からの問い合わせについては、のべ1,266件(のべ回答数)のうち、「観光資源や地域店舗のPR促進」が153件(回答数全体の12.1%。以下同様)と、情報発信に関するニーズが高く、次いで「支援制度の照会」が133件(10.5%)、「メニューや地図などの多言語化」が114件(9.0%)と続いている。

また、「Wi-Fi環境の整備」が92件、「決済システムや自動翻訳機などの導入支援」が58件(4.6%)と、通信環境の整備や機器導入のニーズも高いことがうかがえる。

このほか、「外国人観光客にまつわる各種データの提供」「外国語を話せるスタッフの配置」「接客や英会話など講習会の実施」など、観光に関する基礎データや言語対応についての要望がみられる。

その一方で、「特になし」と答えている自治体が566(44.7%)と、回答件数の4割以上を占めており、官民連携の推進が急がれる。

11.インバウンドに関連する事業における予算や補助金(助成金)の活用について

インバウンドに関連する事業における予算や補助金の活用についての内訳

ポイント

●回答した976の自治体のうち、インバウンド関連事業の予算や補助金(助成金)を「活用している」自治体が360(回答自治体数の36.9%。以下同様)と全体の4割近くを占め、「活用を検討中」としている235(24.1%)の自治体と合わせると6割以上となる。

その一方で、「活用する予定はない」としている自治体が381(39.0%)みられ、4割近くに達している。

インバウンドに関連する事業における予算や補助金の活用内容についての内訳

活用内容についての回答(上位5選)
パンフレットの作成164
パンフレットの多言語化152
Wi-Fi環境の整備113
案内表示板の多言語化102
ホームページの多言語化92
ポイント

●補助金などの活用内容としては、寄せられた1,429件(のべ回答数)のうち、「パンフレットの作成」を挙げている自治体が最も多く164件(回答数全体の11.5%。以下同様)であり、次の「パンフレットの多言語化」の152件(10.6%)を合わせると、両者で2割以上を占めている。

続いて「Wi-Fi環境の整備」が119件(8.3%)、「案内表示板の多言語化」が113件(7.9%)、「ホームページの多言語化」が102件(7.1%)と、それぞれ100以上の自治体が補助金などを活用して実施している。

このほか、「案内表示板の作成」「モニターツアーの実施」「ホームページの作成」「PR動画の制作」など、新しい技術を活かしながら観光に関わるインフラ整備や情報発信、言語対応、受入体制づくりなどが進められている。

出典:一般財団法人モバイルスマートタウン推進財団/日本観光推進総合研究所
「インバウンド観光(訪日外国人観光客) プロモーションに関する自治体実態調査」

過去のデータは、自治体実態調査」でご覧になれます。