2023年度観光事業に関する自治体実態調査

2023年度 | 観光事業に関する自治体実態調査 概要

調査目的
各自治体における観光事業やプロモーションに関する取り組み状況の実態把握を行うための調査です。
あわせて、本調査結果を今後の観光プロモーション活動などにお役立ていただくことも目的としています。(平成30年度より毎年実施)

調査期間
2023年(令和5年)4月10日 ~ 2023年(令和5年)5月31日

調査対象
全国1,741自治体

調査方法
全国の自治体(市町村および東京23区) 観光事業担当部署にメール・FAXで調査依頼を発信
回答はWebのフォームとFAXにて回収し単純集計

回収状況
・回答数 652票
・回収率 37.4%

本調査結果は一般財団法人デジタルスマートシティ推進財団(旧:モバイルスマートタウン推進財団)がWebとFAXでアンケートを実施し、財団シンクタンクである日本観光推進総合研究所が回答者を特定されない形で集計加工したデータであり、一定数以上の回答を得られた情報を掲載しています。

過去のデータは、「自治体実態調査」でご覧になれます。

出典:一般財団法人デジタルスマートシティ推進財団(旧:モバイルスマートタウン推進財団)/日本観光推進総合研究所

01. コロナ前を基準にした昨年度の観光客数の増減

観光客数の増減についての内訳

2023年自治体実態調査の回答に基づく、コロナ前を基準にした昨年度の観光客数の増減を示す円グラフ

(N=614)

観光客数の増減構成比回答数
コロナ前より増えた5%33
コロナ前と同じくらいに戻った13%82
コロナ前の約7割〜9割55%339
コロナ前の約4割〜6割23%140
コロナ前の約1割〜3割3%17
コロナ前の1割未満1%3
ポイント

コロナ前を基準にした昨年度の観光客数の増減については、回答した614の自治体のうち、半数強の339の自治体が「コロナ前の約7割〜9割」、13%となる82の自治体が「コロナ前と同じくらいに戻った」としており、5%にあたる33の自治体が「コロナ前より増えた」と回答している。

回答した全自治体の73%にあたる454の自治体が観光客数の回復を実感しており、年々観光需要が回復傾向にあることがうかがえる。

一方で、約27%の自治体ではまだ観光客数がコロナ前の水準に戻っていないことも明らかになった。これは、地域や観光資源による差異、またはコロナ対策と観光振興のバランスによるものと考えられる。

02-1. これまでのGoToトラベル事業や観光庁等における補助事業を活用した内容もしくは活用を検討した内容

GoToトラベル事業や観光庁等における補助事業の活用、活用検討をどのような内容で行ったかの内訳

(N=500)

補助事業の活用内容(上位5選)回答数
パンフレットやマップの作成179
キャンペーンの実施
(クーポンの発行や費用補助など)
142
PR動画の作成139
各種イベントの開催134
施設の整備
(公衆トイレや観光案内所など)
132
補助事業の活用内容回答数
パンフレットやマップの作成179
キャンペーンの実施(クーポンの発行や費用補助など)142
PR動画の作成139
各種イベントの開催134
施設の整備(公衆トイレや観光案内所など)132
感染症対策123
観光案内板やデジタルサイネージの設置119
観光資源のブラッシュアップ117
SNSなどを活用した情報発信113
旅行商品や体験プログラムなどの造成111
国内プロモーション111
FAMツアーやモニターツアーの実施110
各種事業者や地元商店街などへの支援109
Webサイト(ECサイト含む)の作成105
スタンプラリーや周遊ルートの策定98
インバウンドの整備(多言語化やハラール対応など)90
インフラの整備(Wi-Fi環境や二次交通など)85
地域のブランディング69
メディアやインフルエンサーなどの招聘68
グッズや土産物の開発67
アンケートや宿泊者統計などの調査61
海外プロモーション58
セミナーや意見交換会などの開催58
ワーケーションの推進48
独自アプリやデジタルコンやテンツの開発47
通訳やガイドなどの人材育成39
機材の整備(決済システムや翻訳機など)32
その他27
補助事業の活用検討内容(上位5選)回答数
インバウンドの整備
(多言語化やハラール対応など)
98
ワーケーションの推進98
観光案内所やデジタルサイネージの設置93
観光資源のブラッシュアップ93
独自アプリやデジタルコンテンツの開発93
インフラの整備
(Wi-Fiや二次交通など)
92
旅行商品や体験プログラムなどの造成89
海外プロモーション89
機械の整備
(決済システムや翻訳機など)
89
通訳やガイドなどの人材育成86
補助事業の活用検討内容回答数
インバウンドの整備
(多言語化やハラール対応など)
98
ワーケーションの推進98
観光案内所やデジタルサイネージの設置93
観光資源のブラッシュアップ93
独自アプリやデジタルコンテンツの開発93
インフラの整備
(Wi-Fiや二次交通など)
92
旅行商品や体験プログラムなどの造成89
海外プロモーション89
機械の整備
(決済システムや翻訳機など)
89
通訳やガイドなどの人材育成86
Webサイト(ECサイト含む)の作成84
PR動画の作成82
施設の整備(公衆トイレや観光案内所など)82
地域のブランディング82
グッズや土産物の開発82
セミナーや意見交換会などの開催77
国内プロモーション75
スタンプラリーや周遊ルートの策定75
パンフレットやマップの作成74
各種イベントの開催74
メディアやインフルエンサーなどの招聘74
SNSなどを活用した情報発信71
アンケートや宿泊者統計などの調査71
FAMツアーやモニターツアーの実施69
キャンペーンの実施(クーポンの発行や費用補助など)66
その他61
感染症対策56
各種事業者や地元商店街などへの支援56
ポイント

観光対策として実施されたGoToトラベル事業や観光庁等における補助事業については、「パンフレットやマップの作成」が179件と最も多かった。実施された補助事業内容としては

1位「パンフレットやマップの作成」:179
2位「キャンペーンの実施(クーポンの発行や費用補助など)」:142
3位「PR動画の作成」:139

と観光客を呼び戻すための施策が上位を占める結果となった。これは、情報提供とPRが観光回復の重要な要素であることを示している。

また、検討段階の事業として、インバウンドの整備(多言語化やハラール対応など)やワーケーションの推進、観光資源のブラッシュアップなどが挙げられており、コロナが落ち着き始めている今、人々を迎え入れるための積極的な動きがうかがえる。これは、各自治体が観光業の長期的な回復と持続可能性を見据えていることが分かる。

02-2. これまでのGoToトラベル事業や観光庁等における補助事業を活用しなかった主な理由および今後の方針

GoToトラベル事業や観光庁等における補助事業を活用しなかった主な理由の内訳

2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」における質問「02-2.これまでのGoToトラベル事業や観光庁等における補助事業を活用しなかった主な理由および今後の方針」の回答の割合を示した画像です。

(N=261)

補助事業を活用しなかった主な理由回答数
コロナ交付金など別の補助金を活用89
自治体の独自予算やその他の予算を活用85
人材不足78
予算不足74
観光が主たる産業ではない44
他の事業と比較して優先順位が低かった40
要件の合う内容や該当する補助事業がなかった31
ノウハウがなくエントリーできなかった26
エントリーしたが不採択12
効果が見込めなかった11
その他10

2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」のウェブ記事で、主な理由と今後の方針に関する回答の割合を示した円グラフの画像です。この画像は、GoToトラベル事業や観光庁等の補助事業を活用しなかった理由と今後の方針を視覚的に表現しています。

(N=623)

今後の方針構成比回答数
積極的に実施したい22%135
実施したい60%374
実施する予定はない18%114
ポイント

GoToトラベル事業や観光庁等における補助事業の活用について、代わりにコロナ交付金をはじめとする別の補助金や自治体の独自予算などを活用しているケースが多くみられた。一方で、人員不足や予算不足などにより、補助事業を活用したかったにも関わらずできなかったという障壁も残る。これは、観光事業の推進には多大なリソースが必要であり、特に人材と予算は重要な要素であることを示している。

実際に、回答した自治体の82%となる509の自治体が、今後は「積極的に実施したい」または「実施したい」と回答しており、事業活用の環境整備が待たれる。

これは、自治体が観光事業の重要性を認識し、積極的に取り組みたいと考えていることを示している。しかし、そのためには、人材や予算の確保、そして補助事業の活用ノウハウの習得などが課題である。

03. 多言語化の実施状況とその対応言語

多言語化の実施状況とその対応言語の内訳

(N=487)

販促物や掲示物:言語(上位5選)回答数
英語416
中国語-簡体字276
中国語-繁体字253
韓国語222
タイ語54
販促物や掲示物回答数
英語416
中国語-簡体字276
中国語-繁体字253
韓国語222
タイ語54
フランス語39
ベトナム語20
スペイン語18
ドイツ語13
その他12
イタリア語11
インドネシア語10
ポルトガル語3
デジタルコンテンツ:言語(上位5選)回答数
英語258
中国語-繁体字184
中国語-簡体字178
韓国語154
タイ語46
デジタルコンテンツ回答数
英語258
中国語-繁体字184
中国語-簡体字178
韓国語154
タイ語46
スペイン語38
フランス語37
ベトナム語29
インドネシア語28
ポルトガル語28
その他20
イタリア語16
ドイツ語15
ポイント

自治体の「多言語化の実施状況」について、まず最も多かったのが世界共通言語「英語」であり、次いで訪日外国人観光客数に比例して「中国語(簡体字・繁体字)」「韓国語」と、いずれも例年通りの傾向がみられた。

また「デジタルコンテンツ」については、「ベトナム語」や「スペイン語」などアジア諸国の言語や英語以外の欧米系言語も含まれており、「販促物や掲示物」よりも諸言語への対応が進んでいる。

これは、デジタルコンテンツが多言語対応を容易にし、より多くの観光客に情報を提供できる可能性を示している。しかし、これらの言語に対応するためには、適切な翻訳リソースと文化的な理解などが必須であり、これらが新たな課題となる可能性がある。

04. 機械翻訳の活用状況および機械翻訳に対するイメージ

機械翻訳の活用状況の内訳

2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査の結果、機械翻訳の活用状況および機械翻訳に対するイメージの回答割合を示した円グラフの画像です。

(N=628)

機械翻訳の活用状況構成比回答数
活用している20%125
活用を検討中23%145
活用する予定はない57%358

機械翻訳に対するイメージの内訳

2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査の結果、機械翻訳の活用状況および機械翻訳に対するイメージを示した円グラフの画像です。

(N=617)

機械翻訳の活用状況構成比回答数
エンジンも賢くなってきており、機械翻訳で十分17%108
意味が通じれば、
多少の翻訳間違いは問題ない
42%261
機械翻訳を信用しているが、
人による翻訳が望ましい
32%195
完璧ではない以上、
機械翻訳は控えたい
9%53
ポイント

機械翻訳の活用については、628の自治体のうち43%にあたる270の自治体ですでに活用、もしくは活用を検討していると回答している。

また現在では「AI(人工知能)」などのテクノロジーの向上と共に進化している機械翻訳に対して、617の自治体のうち約6割にあたる369の自治体が肯定的なイメージを有していることがうかがえる。

しかし、完璧ではない機械翻訳の活用に対して約1割にあたる53の自治体が慎重な姿勢を示している。これは、機械翻訳の精度やその適用範囲についての理解、運用の取り決めなどがまだ十分でないことを示している可能性がある。機械翻訳の利点と限界、そして適切な使用方法についての教育や情報提供などが必要となるだけでなく、適切な運用方法の取り決めやルール作りも重要となる。

05-1. 情報発信のプラットフォームおよびSNS運用の課題

SNSの運用状況および運用しているプラットフォームについての内訳

「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」のウェブ記事における05-1の質問「情報発信のプラットフォームおよびSNS運用の課題」の回答割合を示した画像。

(N=634)

SNSの運用プラットフォーム(上位5選)回答数
Instagram459
Facebook434
YouTube316
Twitter311
LINE165
SNSの運用プラットフォーム回答数
Instagram459
Facebook434
YouTube316
Twitter311
LINE165
Webサイト44
ブログ31
運用していない31
独自アプリ20
TikTok13
微博10
その他9
微信3

情報発信のプラットフォームおよびSNS運用の課題についての内訳

「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」のWebページにおける「05-1.情報発信のプラットフォームおよびSNS運用の課題」の回答割合を示すグラフの画像です。

(N=613)

SNS運用の課題回答数
投稿するネタや写真などの素材不足285
人材不足270
効果的な投稿ができているか検証しづらい261
行政として民間事業者を公平に紹介しづらい254
担当者によって投稿内容に差が出る181
業務時間外にも対応が必要となる145
適切な投稿文の作成が難しい119
決裁や各課との調整などで投稿までに時間がかかる116
その他12
ポイント

情報発信のプラットフォームついては、回答した634の自治体のうち72%となる459の自治体が主に「Instagram」「Facebook」を運用していると回答しており、今までの調査ではじめて「Instagram」が最多となった。これは、観光地の魅力を視覚的に伝えることができる「Instagram」が、観光情報の発信に適していると認識されていることを示している。

さらに「YouTube」が次いで多く運用されていることから、言葉の壁を越え、写真や動画で視覚的かつダイレクトに魅力を伝えるPRに力を入れていることがうかがえる。
一方で、SNSを運用するにあたっての課題として、「投稿するネタや写真などの素材不足」が285の自治体と最も多かった。これは、観光地の魅力を最大限に引き出すための高品質なコンテンツ作成が、現場での大きな課題となっていることを示している。

次いで「人材不足」が270の自治体、「効果的な投稿ができているか検証しづらい」が261の自治体となっている。これは、SNS運用の専門知識を持つ人材の不足と、投稿の効果を定量的に評価する方法が不明確であることが、SNS運用の大きな課題となっていることを示している。これらの課題を解決するためには、SNS運用の研修や教育、効果測定のためのツールの活用や、指標の定義などが求められる。

05-2. SNSの運用における効果的な投稿内容や成功例など

SNSの運用における効果的な投稿内容や成功例についての内訳

投稿例【工夫】
有力観光資源のライブ配信
インスタライブを実施
YouTuberに依頼して動画を撮影
高頻度での投稿
ハッシュタグを有効活用
フォトコンテストを実施
テレビ放映の時間に合わせて関連する内容を投稿
ゆるキャラや街のイメージキャラクターを活用した投稿
ロケが行われた番組の放映情報を投稿
ロケ地や放映情報を紹介
観光シーズンなどSNSの閲覧数が増える時期に投稿数を増やす
実際に体験した感想を発信
人気アイドルが来訪したことを投稿
投稿する写真の雰囲気を統一化する
道順が分かりづらい観光名所までの案内動画を投稿
普段見ることができない風景や様子を投稿
毎月のイベントの様子を投稿
毎日コンスタントに投稿
名勝や名産品を映える写真とともに投稿
イメージキャラクターを活用した投稿
イベントの告知(開催前から定期的に投稿)
一般の投稿者の写真を掲載
関係自治体の公式アカウントのフォローや引用など
地域おこし協力隊による自由度と速攻性の高い情報発信
PR大使の募集にSNSを利用
SNSのターゲット広告
プレゼントキャンペーンの実施
フォローキャンぺーンの実施
フォトコンテストの実施
成功例【結果】
SNSの投稿を見た外国人観光客からの問い合わせが増加
アニメファンが増加
イベントの来場者が増加
インスタ映えするスポットとして大きく認知された
若年層のフォロワーが増加
イベントの来場者が増加
市の認知度や関心度の向上につながった
アイドルファンから大きな反響があった
フォロワーやチャンネル登録者数が増加
ポイント

SNSを運用している自治体では、主に「テレビに関連した投稿」「キャラクターやYouTuberを起用」「キャンペーンの実施」が挙げられる。これらの方法は、観光地の魅力を直接的かつ視覚的に伝えることができ、観光客の関心を引きつける効果があると認識されている。

特にテレビに関連した投稿は、放映時間にリアルタイムに投稿することで自治体の認知度向上につながり、またロケ地を紹介することで実際に来訪者が増加するといった効果が見られている。これは、テレビ放送とSNSの連携が、観光地の魅力を広く伝える強力な手段であることを示している。

また、キャラクターやYouTuberの起用、キャンペーンの実施などは、観光地の魅力を伝える新たな方法として注目されている。これらの手法は、特に若年層などSNSを頻繁に利用する層に対して効果的であると考えられる。

06-1. 観光DXの取り組み状況および取り組めていない理由もしくは取り組む予定のない理由

観光DXの取り組み状況についての内訳

「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」における観光DX取り組み状況に関する割合を示す円グラフの画像。

(N=640)

SNSの活用状況構成比回答数
取り組んでいる9%60
取り組む予定12%80
実施できていない51%324
取り組む予定はない28%176

観光DXに取り組めていないもしくは取り組む予定のない理由

「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」のWebページの回答データを示す画像。06-1の質問「観光DXの取り組み状況および取り組めていない理由もしくは取り組む予定のない理由」の回答割合を示しています。

(N=501)

その他の主な回答
広域的に取り組むべきだと考えている
適切なツールが判断できない
具体的な特色ある取り組みの返答が進んでいない
DXに係る専門的知識を有した者がいない
行政として積極的に取り組む必要を感じない
どの程度効果を見込めるかわからない
地域内の観光事業者の合意形成
事業所の高齢化により、導入をすすめても断われる
ポイント

回答した640の自治体のうち、全体の約2割にあたる140の自治体では、すでに観光DXに取り組んでいるもしくは取り組む予定となっている。

また、約半数にあたる324の自治体においては、取り組みたいが実施できていない状況となっているが、いずれにしてもこれらを合わせた全体の約7割にあたる464の自治体においては、観光DXへの取り組みを積極的に考えていることがうかがえる。

一方で、観光DXに取り組めていないもしくは取り組む予定のない理由としては、「人材不足」や「予算不足」が挙げられている。次いで「何をしていいかわからない」という回答も一定数ある。これらから観光DXの具体的な取り組み方についての知識やノウハウが求められていると考えられる。この問題を解決するためには、具体的な取り組み方や成功事例の共有、専門家による支援や教育が急がれる。

06-2. 取り組んでいる、または取り組む予定の観光DXの内容

取り組んでいる、または取り組む予定の観光DXの内容【工夫】
AIによる観光コースの自動生成
デザインマンホールなど一定のファンがいる内容を投稿
リアルタイムに旬な情報を発信
トレンドに合わ
AI乗り合いタクシー
ARアプリ
ARを使ったデジタルコンテンツの開発事業
ゆるキャラや街のイメージキャラクターを活用した投稿
ロケが行われた番組の放映情報を投稿
Googleビジネスプロフィールの活用
GPSを利用した人流データ等の取得
MA、CRMを活用したデジタルマーケティング
QRコードの積極的な活用
SSMRを活用した観光案内
VRサイト、ECサイトの作成・運用
VR動画を使用した観光PR活動
Webアンケートによる定量定性分析
Webサイトの流入分析等によるデジタルマーケティング
イベントの参加フォーム申込の電子化
オンラインツアーの実施
キャッシュレス決済の面的導入
データの収集・可視化
デジタルサイネージの活用
デジタルスタンプラリーの実施
デジタル観光マップの作成
デジタル技術を活用した周遊型謎解き事業を展開
デジタル商品券の発行
ビッグデータの活用(LINEなど)
メタバースを活用した情報発信
観光MaaSの構築
観光アプリの導入
観光デジタルマップの作成
観光と交通が一体となったアプリの導入(交通情報には観光スポットや飲食店の情報が掲載)
観光案内ボランティア利用申込手続きのオンライン化
観光案内所のオンライン連携
観光施設の受付システムのリプレイスに伴うICT導入
宿泊客のシステム管理とデータ分析
宿泊予約、土産配送、移動方法確保などを集約したアプリの開発
演劇の字幕解説の導入(手持ちのデバイスで舞台上演に合わせた字幕解説が自動的に表示)
混雑状況を可視化するWebサイトの運用
民間企業と包括連携協定を締結し、「車両ナンバー検知AIを用いた交通調査」や「地域消費プラットフォーム構築」のための実証実験を実施
教育旅行におけるメタバースの活用
広告配信によるデバイスプロモーション
施設予約・利用申請のデジタル化
地域CRMの活用
地域通貨による決済
調査・分析のAI活用
入込客のカウント
予約・決済システムの構築
ポイント

回答の中にはDXの他にデジタイゼーションやデジタライゼーションに該当する内容も含まれているが、例えば「デジタルマーケティング」や「アプリの導入」など、観光客向けのサービス向上を目指した取り組みが多く見られる。

1. デジタルマーケティングの重要性:デジタルマーケティングは、観光地の魅力を広く伝えるための重要な手段のひとつである。特にSNSやWebサイトを活用した情報発信は、観光客の関心を引き、訪問を促すための強力なツールとなる。これらのデジタルツールを最大限に活用し、魅力的なコンテンツを作成・共有することで、観光地としての認知度と魅力を高めることができる。

2. アプリの導入:アプリの導入は、観光客に対するサービスの提供をよりパーソナライズし、利便性を高めるための有効な手段である。観光情報の提供から、観光地へのナビゲーション、地元のサービスや商品の予約など、アプリを通じて提供できるサービスは多岐にわたる。しかし、アプリの開発と運用は専門的な知識とコストを必要とする。そのため、アプリの導入が地域の観光振興にどのように貢献するかを明確に理解し、適切な計画と予算を立てることが重要となる。

3. デジタルスキルの向上:観光DXの取り組みは、デジタル技術の理解と活用能力を必要とする。デジタルマーケティングの基本から、アプリの開発・運用、データ分析など、デジタルスキルを身につけることが求められている。教育と研修を通じて、これらのスキルを向上させることが必要である。

4. パートナーシップおよび地域プラットフォームの活用:デジタル技術の専門知識やリソースが不足している場合、自外部のパートナーと協力することや地域プラットフォームの活用を検討することも重要である。IT企業やデジタルマーケティングの専門家、地元の大学や研究機関などとのパートナーシップや地域内事業者も含めたプラットホームの活用を通して、観光DXの取り組みをより具体的に推進することが可能となる。

これらの視点を踏まえ、観光DXの取り組みを進める上で、リソースと課題を明確に把握し、適切な戦略と計画を立てることが重要である。

07. 観光事業の推進における課題

観光事業の推進における課題についての内訳

 「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」の回答データにおける観光事業の推進に関する課題の割合を示すグラフの画像です。

(N=642)

観光事業推進における課題(上位5選)回答数
人材不足337
公共交通が行き届いていない(二次交通対策)329
宿泊施設が無い/少ない321
観光地としての認知度が低い303
予算不足303
観光事業推進における課題回答数
人材不足337
公共交通が行き届いていない(二次交通対策)329
宿泊施設が無い/少ない321
観光地としての認知度が低い303
予算不足303
観光客の滞在時間が短い260
観光客の消費額が少ない249
観光資源や観光スポットが無い/少ない236
観光客は増加しても宿泊につながらない216
季節や曜日による繁閑の差が大きい140
観光客を迎える事業者に温度差がある135
カードや電子マネーなど多様な決済方法への対応129
観光DXの取り組み120
掲示物や配布の多言語対応97
Wi-Fi環境の整備88
戦略や方向性が定まっていない87
駐車場や生活道路などがキャパシティを超えている87
官民連携78
広域連携78
ハラールなどの異文化対応62
SNSの活用などPR方法がわからない61
PR するための動画や写真など素材がない43
災害時やトラベル時の対応35
その他7
特に課題はない1
ポイント

観光事業の推進に向けた課題としては、「人材不足」が最も多く337件が寄せられている。次いで「公共交通が行き届いていない(二次交通対策)」「宿泊施設が無い/少ない」が多く挙げられており、受入環境の整備において課題に直面していることがうかがえる。

さらに、「観光地としての認知度が低い」「予算不足」といった課題も300件以上の回答があり、これらの問題が観光事業の推進に影響を与えていることが示されている。

また、「観光客の滞在時間が短い」「観光客の消費額が少ない」といった回答も200件以上あることから、その地に宿泊してほしいという思いがあるが、低迷している実情も伺える。
これらの課題を解決するためには、観光地の魅力の発信や、観光客がより長く滞在し、より多くの消費を促すなど、多面的な施策が求められる。

さらに、観光地のデジタル化に関する課題も挙げられている。例えば、「観光DXの取り組み」「カードや電子マネーなど多様な決済方法への対応」「Wi-Fi環境の整備」などの項目が挙げられており、これらの課題を解決することで、観光地がより便利で魅力的な場所になる可能性がある。

08. 観光事業の推進における官民連携の状況とそのお相手

観光事業の推進における官民連携の状況についての内訳

 「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」における観光事業の推進における官民連携の状況と相手を示した円グラフの画像です。

(N=639)

観光事業の推進における官民連携の状況構成比回答数
連携している45%288
連携を検討中25%158
連携する予定はない30%193
ポイント

回答した639の自治体のうち、約45%にあたる288の自治体が既に官民連携を実施していると回答した。さらに、約25%の158の自治体が連携を検討中と回答しており、これらを合わせると、官民連携を実施または検討している自治体は全体の約70%に上る。これは、観光事業の推進において、民間事業者や他団体との連携が重要な要素であることを示している。

一方で、約30%の193の自治体が「連携する予定はない」と回答している。これは、連携を必要としていないのか、あるいは連携を必要としているにもかかわらず、何らかの理由で連携ができない状況にあるのか、その背景や現状について詳しく追加調査する必要がある。

観光事業の推進における官民連携のお相手の内訳

2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査の回答データから、観光事業の推進における官民連携の状況とそのお相手の割合を示した画像

(N=375)

観光事業推進における官民連携相手回答数
観光協会288
DMOや観光推進機構147
商工会議所143
観光事業者129
宿泊事業者126
飲食事業者77
各種協議会・組合・団体73
交通事業者70
商店街37
地域ボランティア34
コンベンションビューロー25
学識機関や学生団体25
広告事業者16
イベント事業者16
ツーリズムビューロー10
IT事業者6
海外の事業者6
金融機関6
その他5
通信事業者1
ポイント

官民連携のパートナーとしては、「観光協会」が最も多く、288件となっている。これは地域的なつながりが深いことから、地元の観光協会との連携が多いと考えられる。次いで「DMOや観光推進機構」が147件、「商工会議所」が143件と続いている。

その他のパートナーとしては、「観光事業者」や「宿泊事業者」がそれぞれ120件以上、「飲食事業者」「各種協議会・組合・団体」「交通事業者」もそれぞれ70件程度挙げられている。これは、観光事業の推進において、多様な業態との連携が行われていることを示している。

また、連携相手として「IT事業者」や「海外の事業者」が挙げられている数は少ないが、観光DX、デジタル化、インバウンド需要の増加などを考慮すると、これらの業態との連携は今後ますます重要になると予想される。そのため、これらの業態との連携を進めるための支援や情報提供が求められる。

09. 観光事業の推進における広域連携の状況とそのお相手

観光事業の推進における官民連携の状況についての内訳

 「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」のWebページに掲載された、観光事業の推進における広域連携の状況とそのお相手を示した円グラフの画像です。

(N=639)

観光事業の推進における広域連携の状況構成比回答数
連携している42%271
連携を検討中23%144
連携する予定はない35%224
ポイント

639の自治体からの回答の中で、約42%にあたる271の自治体がすでに広域連携を行っていると答えている。さらに、約23%の144の自治体が連携を検討中と答えており、これらを合わせると、広域連携を実施または検討している自治体は全体の約65%に達する。

一方で、約35%の224の自治体が「連携する予定はない」と回答している。

交通インフラの整備や単一の自治体では実施が難しい事業に取り組むため、また観光客の周遊率を上げるためにも、広域連携体制の構築が自治体にとって重要であると考えられる。しかし、全ての自治体に当てはまるわけではなく、それぞれの自治体の状況や課題により、広域連携の必要性や優先度は異なる。広域連携を行わない理由や背景について、さらなる調査が必要である。

 2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査の結果、観光事業の推進における広域連携の状況とそのパートナーの割合を示した回答データのグラフです。

(N=339)

観光事業の推進における官民連携のお相手の内訳

観光事業推進における広域連携相手回答数
近隣自治体259
都道府県98
DMOや観光推進機構83
広域連携協議会68
県内の自治体53
沿線の自治体25
姉妹都市11
官公庁10
コンベンションビューロー9
その他6
ツーリズムビューロー4
海外の自治体2
ポイント

広域連携のパートナーとしては、「近隣自治体」が最も多く、259件となっている。これは地域的なつながりが深いことから、地元近隣の自治体との連携が多いと考えられる。次いで「都道府県」が98件、「DMOや観光推進機構」が83件と続く。

その他のパートナーとしては、「広域連携協議会」や「県内の自治体」、「沿線の自治体」などとの連携も見られる。これは、観光事業の推進において、多様なパートナーとの連携が行われていることを示している。

また、「海外の自治体」との連携は現在は少ないものの、インバウンド需要の増加を考慮すると、これらのパートナーとの連携も今後重要になると予想される。そのため、これらのパートナーとの連携を進めるための支援や情報提供が求められる。

また、「08.観光事業の推進における官民連携の状況とそのお相手」のセクションでも指摘したように、「IT事業者」や「海外の事業者」との連携も重要性を増している。観光DX、デジタル化の進展、インバウンド需要の増加などを考慮すると、これらの業態との連携を進めるための支援や情報提供が必要となる。

出典:一般財団法人デジタルスマートシティ推進財団(旧:モバイルスマートタウン推進財団)/日本観光推進総合研究所
「2023年度観光プロモーションに関する自治体実態調査」

過去のデータは、「自治体実態調査」でご覧になれます。